木津町議会議長 西岡 努 様                            2007年 2月 15日

重度障がい児の幼稚園入園・保育園入園を求める請願書


                             請願者    病児・障がい児の地域生活を支える会『てくてく』                                                
                                        事務局   木津町州見台
                                       電話番号        


請  願  趣  旨

 息子は先天性の病気により、医療的ケア(吸引・経管栄養・導尿)を必要とし、全介助が必要です。医療的ケアとは、まだまだ見慣れないものですが、視力を補うために眼鏡をかけるのと同じく、機能しない体の一部を医療機器を用いて補っていて、それに伴う処置の事をいいます。 練習すれば誰でも出来る行為で、実際、小学校一年になる息子の姉も医療的ケアが出来ます。 

息子は機能上言葉を発する事が出来ません。 しかしながら表情と体をもって喜怒哀楽をはっきり表現し、思いをしっかり伝えてきます。 病院から在宅生活に移行し3年以上が経過し、日々療育や訓練に出かけ、また、地域の事業やサークル、催しにも積極的に参加しております。息子には二人の姉弟がいますが、病気や障がいは一個性として、当たり前に接しています。 日々当たり前に接する中、知らず知らずに思いやりや、工夫する知恵がついた姉弟達を見ていると、体験から得る学習の効果の大きさと大切さを感じます。大変な事も何かとありますが、家族としても出来るだけ当たり前の生活を目指し、何でも挑戦してまいりました。 

その結果、当初の診断結果からは予想もつかない程、息子はゆっくりながらでも着実に成長の道を歩んでおります。 専門的な療育のお蔭で大きな成長を遂げる事が出来たのは事実ですが、今その専門的療育だけでは成し得ない成長段階に達しました。 というのも「子ども同士の刺激と育ち合い」がとても必要な時期となっています。 「子どもは子どもの中で育つ」という位、子どもにとって集団生活は大変重要であります。 主治医や現在通う療育施設の担当保育士にも、その必要性と十分やっていける事の保障をも頂いております。 だからこそ地域の園での集団生活を、息子に他の4歳児同等に与えて頂きたいと願うのです。 

そもそも、病気や障がいがあるから、地域の園に入園出来ないのはおかしい事です。 その子にとって、専門性の高い療育施設の方が良いのか、地域の園の方が良いのか、ということは本人や親が選ぶべきもので、行政側が一方的に、その子の行き先を決める事は人権侵害に値します。 また地域の園を選んだ場合、「対応する能力が無い」「責任がとれない」とする現場や行政側の態度は、全ての人に対していかに支援をしていくかという責務があるにもかかわらず、又それをやろうともせず、逆にそれを理由にするということは、行政側の怠慢としかいいようがありません。 問題点の本質を見ようと、つかもうとせず、責任逃れから入園を断るやり方は予断と偏見にもとづく差別的な扱いと言わざるをえません。 どれだけ重度の病気や障がいがあっても、ひとりの人間、ひとりの子どもとして生きる権利があります。 病気や障がいだけを見て判断するのではなく、子どもそのものを見るべきであります。

 今、命を粗末に扱う時代となりました。 相手の事を思いやる想像力に欠ける人間が多くなった故の結果でもあるのではないでしょうか。 今こそ命の尊さを見つめなおし、思いやりの心を育てる取り組みが必要です。 小さい時から、健常児や障がい児という枠を作らず、『人間』違いがあって当然と、違いを認め合う関係作りが必要であり、その先に心豊かな温かい人間形成が成し得るのです。 病児・障がい児と共に集団生活を送る事は、病児・障がい児にだけ有効なのではなく、そこで一緒に行動する全ての子どもや大人にも大変有効で、「人として大切なもの」を知らず知らずに教えられます。 枠にとらわれない支援があってこそ「子育てbPのまち」です。 どんな状態でも子どもは子どもとして、地域社会で当たり前に育ち合う事が保障されない限り、子どもを育てる環境として住み良い街にはなりません。

木津町に河井町長が誕生し「子育てbPのまちをきづこう」と取り組まれていることに期待しています。 重度障がい児を持つ家族として、本人をまじえ、昨年1月に町長に面談し、地域での障がい児保育について前向きな検討をお願い致しました。 その後、「重度障がい児の地域での保育を求める要望書」をも提出致していますが、「勉強する時間を下さい」と担当課から連絡があっただけで、その後連絡をいただけていません。 昨年9月には、木津町立木津幼稚園に入園願書を出し、親が付き添い責任を持って医療的ケアを含め子どもの面倒を見ると伝えても、「お母さんが手を洗っている間に何かあったら責任がとれない」という理由で入園を拒否されました。 また昨年1月より町の子育て事業である「親子教室」に通っている息子の様子を見てきた東部子育て支援センターを併設する梅美台保育園にも入園願書を出しに行きましたが、その際「うちの園に出してもらっては困る」とまで言われました。 その後町側で願書は受理されましたが、現在のところ返答がありません。


今回の請願は、わが子の問題としてだけではなく、木津町ならびに木津川市として、重度の病児や障がい児に対する前向きな環境整備をしてほしいという思いを込め、地方自治法第124条によって、以下のことを強く請願いたします。
 なお、本請願は、木津町の閉町が確定していることから、臨時議会にて審査していただきたく合わせて要求しておきます。


請  願  項  目

1 病気や障がいを持つ子どもも地域社会の一員として、また希望する園で保育を受ける権利を
有する一個の人格として、全ての子ども達を積極的に地域の園で受け入れてください。

 2 病気や障がいを持つ子どもが地域で当たり前に安心して暮らせる環境を、木津川市が速やかに整えていくよう、本請願の趣旨を新市に引き継いでください。