くれは 2問目。「特別支援教育の拡充が必要」として聞きます。
 個性や多様性を大切にするという考えかたが教育現場でも定着し、さまざまな対応が前向きに進められています。
障がいのある子どもたちの教育が「特殊教育」から「特別支援教育」に転換しました。

 特別支援教育とは、従来の特殊教育対象の障がいだけでなく、軽度発達障がい児、いわゆるLD、ADHD、多機能自閉症を含め障がいのある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握し、そのもてる力を高め、生活や学習上の困難を改善、克服するため、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うとされています。

 昨年4月1日、改正学校教育法が施行されました。文部科学省の通知に即し、教育現場の現状や今後について聞きます。

@通知3の「校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名と校務分掌への位置づけ」とありますが、認識、現状、今後の方向性はどう考えられていますか。

A5の教育委員会等の支援について、「教育委員会は実態等を踏まえ、各学校における支援体制や学校施設整備の整備充実等に努め」「学校関係者、保護者、市民等に〜正しい理解が広まるよう努める」とあります。市の現状と今後はどうですか。

B6の「相談への早期からの連携」では、「保護者からの障がいにかんする相談などに真摯に対応し、意見や事情を十分聞いたうえで児童生徒への対応を行う」とあります。市の現状と今後は。

C7の「支援等の活用」では、「支援員が必要な知識なしに幼児生徒の支援に当たることのないよう、事前の研修等に配慮」となっています。
国は、2007年度で250億円、2008年度で360億円を地方交付税措置を予定しています。市における「特別支援教育支援員」の配置の状況はいかがでしょうか。旧加茂町でされていた単費での配置も合わせてお聞きします。

D 通常の学級にLD,ADHD,高機能自閉症等の児童生徒が6%の割合で在籍していると文部科学省はいいます。市の教育委員会は、市内の通常の学級の状況をどう受け止めていますか。

最後に、「特別支援教育」についての教育長の思いを確認したいと思います。


教育部理事 特別支援コーディネーターおよび校内委員会の設置について質問いただきました。
 特別支援教育のあり方が大きく変化し、本市においても特別支援教育の趣旨に基づき、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な支援を行うため、取り組みを進めているところです。

 市内すべての保育園、幼稚園、小・中学校において特別支援コーディネーターは指名し、校内委員会を設置し、校務分掌に位置づけています。今後さらにその機能が充実するよう指導して行きたいと思います。

 教育委員会の支援について質問いただきました。
 現在、12小学校、4中学校に計21の特別支援学級を設置しています。各学校と緊密な連携のもと、特別支援学級の設備、教材等の充実、教育内容の充実を図っています。

 また、特別支援教育の理念、啓発等については、各学校での教職員への研修をはじめ、各研究会や他の組織との連携を図り、学校関係者、保護者、市民に対する研修・啓発に努めています。
今後、一層、障がい等について正しい理解が広まり、深まるよう、鋭意努力していきたいと思います。

 早期からの連携の部分です。各幼稚園・保育園・学校では、特別支援コーディネーターを中心に研修等を実施し、各担任においても、保護者からの相談に十分対応できるよう指導しております。保育園・幼稚園においては、早期での対応の重要性にかんがみ、保護者等の意見を十分に聞き、対応しています。特に、特別支援を要する幼児・児童・生徒へは、1人1人のニーズに応じての対応が必要であると考えています。

 また、市の就学指導委員会を中心に、保護者との緊密な連携のもと、就学指導等の相談活動を実施しています。
 支援員の配置については、学級担任だけでは支援が困難と思われる場合については、各学校の支援方法や体制を整えていただく意味で、市単費の支援員を配置しています。

 平成20年度については、加茂小学校・梅美台小学校・相楽小学校・上狛小学校に配置しています。
 なお、京都府教育委員会より、別に州見台小学校・南加茂小学校・相楽台小学校・高の原小学校・木津第二中学校に支援員が配置されています。

 特別支援を要する児童・生徒の割合については、その現状ですが、支援が必要と思われる発達障害の児童・生徒は、小学校では3.3%、中学校では4.7%です。
 担任だけの支援でいいのか、また支援員が必要か、個々の支援の方法や実態を確実に把握し、きめ細かく対応していきたいと考えています。
 

教育長 「発達障害を含む障がいある児童・生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、個々の力を高めるため、必要な支援をしていく」という特別支援教育の考え方は、ある意味、すべての教育の原点であると考えます。その意味でも、すべての教育活動を実施していくに当たり、個に応じた教育を大切にしていかねばならないと考えています。
 

くれは 現在はすべての学校に支援学級があるといわれています。
従来から特殊教育という学級はあったかと思います。今回の改正によって、新たに発達障害のある子どもたち向けの特別支援教育という位置づけではないのではと思います。

 今回の改正は、特別支援教育を「学校として全体的、総合的に推進するもの」であると位置づけられたといえます。
つまり、管理職である校長には、「特別支援教育は、学校経営上の最重要課題の一つ」という認識が必要です。そして、その認識の基、特別支援教育コーディネーター、校内委員会、巡回相談、専門家チームといった支援体制を作り、障がいをもつ児童生徒への支援を、一人の教師に負わせるのではなく、学校全体的、総合的な対応をしていくことができるし求められているのです。

 つまり、教師一人による支援からチームとして、システムとしての対応が求められているのが今回の大きな意味だと思いますので、そういう意味からしたら、特別コーディネーターの役割は非常に大きい。どのような人が配置されるということも非常に重要だと思います。すなわち、専門的な知識を持った方があたるべきであり、普通学級では人数が多くて勤まらないから、そういう先生を配置するというようなことであってはならないと思いますので、その点の認識を聞きたい。
また、地方交付税措置での支援員は、どのようになっているのでしょうか。

 これは、各学校1人の支援員の配置が可能なように、地方交付税が措置されているものであり、認識のある市は十分に配置できていると思いますので、木津川市の場合、その関連の支援員が置かれているのか不明ですので、その点を聞きます。

 そして、通知3にある「個別の指導計画の作成」について。これは普通学級に小・中学校においても必要に応じて作成するなど、一人一人に応じた教育を進めることが求められているから、長期的な視点にたった一貫した教育支援を行うことが目的で、場合によっては作成するようになっていると思います。

 木津川市は、他の自治体から転入学もありますので、小学校1年生で始めて木津川市に引っ越してくる事例も学校によってはあると聞きます。そういう意味では、連携のない中、非常に戸惑われている現座があるということも聞いていますので、このような事を防ぐためにも、ぜひとも他府県にまたがると思いますが、小学校から中学校との連携も含めて、必要に応じて支援計画の作成を積極的に木津川市ではとるべきですし、引越しされてきたからの聞き取りとか、他市への聞き取りは当然必要なことだと思います。その考えは。

 実際、保護者の方と話をする中で、いろいろ悩まれていることがあります。学校に行くのに、地域の学校か、養護学校かとの選択で悩まれています。養護学校に行った場合、地域の学校とのつながりが非常に少ないことがネックの一つです。また、地域のつながりを大切にし、地域で生きて行きたい・自立したい、その意味において、地域の小学校を選択したいとの思いの方も当然おられます。

 昨年6月議会、私の一般質問に対し、教育長は「どの学校に行きたいか親御さんの意見を尊重していくということについては、理解しております。」と述べられていましたし、今回改正された教育基本法第4条2項には、「国および地方公共団体は、障がいのある者が、その障がいの状況に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない」と示されたことなども合わせると、木津川市としてハンディがあっても自由に進路を選択でき、地域の中で安心して学校に行ける、あたりまえに暮らせる、そんな地域社会であってほしいし、それを積極的に取り入れる教育委員会の姿勢でほしいと思います。その考えは。


教育理事 いくつかの質問をいただきました。漏れていたらご指摘いただければと思います。
 
 特別支援学級の設置については、すべてというふうには申していません。現在1校に、特別支援学級が設置されていない学校がありまして、先ほど申しましたように、中学校で4校小学校で12校、木津川市には小学校が13校ありますので、すべてではありません。

 全校体制で総合的に取組んでいくというとことは、十分に教育委員会もそのとおりだと思っています。
 コーディネーターについては、特別支援コーディネーターの要請研修を受講しているものが前提となっています。その中で、専門的な知識を研修して、それで校内の中で自らコーディネーターをし、なおかつ他の教職員に広げていくと、そういう役割も持っていますので、そういうスタッフを配置しているということです。

 それから、地方交付税の措置については、先ほど、市の配置の部分で答えましたが、それについては、地方交付税から出ているものと認識しています。ただ、すべての学校に配置できているかというと、そうではないので、今後、すべての学校に配置していけるように、財政当局とも協議して、その方向で努力していけたらと考えています。

 それから、個別の支援教育に作成についてですが、当然、これは必要であると考えています。今現在、個別の支援教育については、全ての子どもたちについて作成している状況ではありません。ただ、これは特別支援学級に在籍している者だけではなく、いわゆる通常学級・交流学級に在籍している子どもの部分についても、個別の指導計画、これについては作成をすべてしています。

 この部分で、今現在、小・中学校の連携も含めて対応していますが、今後、より詳細な個別の支援計画の作成を求めていきたいと考えています。


教育長 私からは、いわゆる保護者が養護学校を選択すべきか、地域の学校を選択すべきかでいろんな希望を持っておられる方に対する対応についてどうするか質問いただきました。

 個々の親御さんのご希望を聞きながら、教育委員会としてはどの方向がいいのかということで話し合いを個々のケースに応じて対応を進めていきたいと思います。

 なお、ある親御さんの意見としては、養護学校で子どもの障がいについての治療訓練を進めながら、地域の学校に年間、もう少し現在の状況よりも多く行けないかということでのご要望もありましたので、教育委員会だけできちっと決めるわけにはいきませんので、そのお子さんが希望している養護学校と話し合いを今後進めていきたいと思っています。


くれは 支援員については、地方交付税措置では全校に配置できるとなっていますので、そういう姿勢で臨んでいただきたい。

 当然、この支援員も専門的な知識を持った方が当たっていただけないと効果はないと伝えておきます。事例をこなす中で、システムが出来上がっていくと思いますので、そういう意味からして、始まったばかりですが、きっちりと学校挙げての体制を日々積み重ねでしていっていただきたいと思います。

 個別の話しになりますが、今年5月、地域の学校へ行きたいとのとの要望書が出されているかと思います。市長及び教育長宛に8880名の署名を添えて提出されている要望書があります。これは、個人の願いや思いではなく、木津川市が包括教育というインクルーシブな教育をしてくれるような木津川市になってほしいという意識の現われだと思いますので、大多数の子どもたちにとっても効果的な教育を提供されると確信しておりますので、前向きな対応、個々の希望を聞きながら、個々のケースということも言われましたが、十分話し合って希望をかなえていくところに話し合っていただきたいと思います。

 養護学校との関連での年間、地域の学校に多く通うというようなことは、当然、一つの方法であると思いますが、答弁求めます。


教育長 署名を頂いた件についても、私どもも直接お話をさせてもらいましたし、親御さんの意見を聞く機会も設けています。今後、継続して話し合いを進めていきたいと思います。

 地方交付税に、いわゆる支援員を1名配置するという質問ですが、これについては、地方交付税は、議員もご承知のとおり、そういうことに使うようにということで一定示していますので、教育委員会としましては、財政当局とも協議しながら、先ほど理事からも話をしましたが、京都府から一定の制度もあります。それから国からの指定を受けることで人員をいただくという方法もありますので、いろんなことを活用しながら、すべての学校にフルタイムにというわけにはいきませんが、工夫をしながら支援員が必要な学校に入れるよう工夫していきたいと思っています。

 なお、支援員については、一人の子どもに一人の支援員を当てるという制度ではありません。これはいわゆる発達障害、最近話題になっています発達障害のある子どもたちが約6%、木津川市では%も少し下回った数字を示させてもらいましたが、全国的には全校の児童・生徒の6%がそういうことで必要であるといわれていますので、普通学級に約6%の子どもたちを何らかの形で補助するのが、支援員の制度の大きな仕事の一つであるわけで、複数の子どもたちに1名の先生、あるいは複数の子どもたちがいる二つくらいのクラスに1名の先生ということで、フルタイムではないですが、こういう制度をうまく活用しながら、木津川市の特別支援教育が充実するよう頑張っていきたいと思っています。